受信サービス株式会社

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同一構内の大規模共同受信施設のトラブル対応

弊社取扱までの経緯

 ある同一構内の大規模なデジタルケーブル施設での出来事です。

 この施設は、光受信端末に接続の地上デジタル放送、BS放送、CS放送ならびに、CS通信衛星と自主制作のカメラ映像番組を伝送する施設です。

 主モニター箇所で各信号を見ると、時々ブロックノイズあるいはブラックアウトし真っ黒になると言います。この機器のメーカーならびに専属の保守業者が調査し対応を行ったそうですが、原因不明で改善が困難。また、どこに頼んでも改善しないと困っている様子でした。

 このため弊社のホームページを見て、調査と改善を依頼したとの事です。

事前の状況収集と現地調査

 規模が大きい施設ですので、まず、どこの付近の系統に問題がありそうか現地関係者から話を伺うと共に、配線図とブロックダイヤグラムを検討し

(1)各施設系統のブロック毎のデータ    を収集し
(2)レベル設定と波形の観測        を行い
(3)各信号の混合前後のレベルのバランス  をチェックしました。

 これらの測定・調査から、原因は接続部分の不良と断定し、コネクター類の交換ならびに通過帯域の劣化等も考慮し混合回路も交換しました。

 この措置以降はトラブルの発生は無く改善したものと判断しました。

Level.58.35dBμV   /MER.26.5dB 
BERvit.1.9E-04   /BERrs.4.4E-04

 なお、今後のメンテナンスを考慮し、測定端子のない箇所にモニター端子を新設(本設)し、モニター地点から画面状況やトラブルの場所等を把握したり、 系統的にどんな受信状態になるかをチェックしたり、OFDM変調器の送り出し信号の品質を計測するよう指導しました。

 今後のトラブル発生の際の参考にするため、計測地点では、各信号の波形と品質をRFキャプチャで記録しました。

今回調査の教訓

 メーカーや専属業者の調査で解決できなかった原因を究明するため、弊社の通常使用のローデシュワルツ社の「ETH」と、業者が使用していると予想されるレベルチェッカー「LF986」と「LCN3」との比較測定を行い誤差の程度を確認しました。

 比較の結果は、特に「BER」の値が「LF986」や「LCN3」では問題が認められない値を示したにもかかわらず、「ETH」では明らかに劣化が認められる値でした。

 その理由としては、次のような理由が考えられます。

 デジタル放送は、約5600以上の多くの搬送波(キャリア)で構成されたOFDM波を用いています。OFDM波にマルチパスやケーブル不整合による反射等の遅延波が加わると、下図のように「受信帯域内振幅周波数特性波形」にリップル(さざ波状)が生じます。

   正常なOFDM波           リップルの立ったOFDM波
受信帯域内振幅周波数特性波形

 このリップルが生じた波形から「BER」の値は、横軸上にサンプルポイントをとり、各サンプルポイントのCN比から各BERを求め、全搬送波の平均BERを求めます。

 この際、測定器に備えられた固有のサンプルポイントが問題になります。サンプルポイント数が少ないと、たまたま、周波数特性波形のレベルが大きい箇所にあたってしまい、レベルが小さい箇所を見逃してしまい、「BER」の値が劣化していないように表示されるのです。

 最近見られる、トラブルの事例としては、原因究明に窮した場合は、「一般用のレベルチェッカー」での微妙なトラブル原因を見逃す傾向が多く見られます。測定器にはそれぞれ特有の測定誤差を包含しています。測定器の指示のみを100パーセント鵜呑みにしないで、複数の測定器の結果と対比してみたりして、現象と測定データが一致しないときは、一旦、データを疑ってみてください。

お困りの時は弊社へご相談を!

 今回の施設は、光関係とCS電波、自主放送を伝送する立派な施設ですが、業務用として使用されているため、運用中にトラブルが発生すると重大問題となる事も予想される施設でした。トラブルについは、設計時の問題、使用機器本体の問題、施工上の問題があり、総合的な判断を基に調査解析を行う必要がありました。

 また、波数が多いと機器の設定などバランスの取り方も配慮が必要になります。このような時は問題が起こらないよう、施主様、ゼネコン様、電気工事元請け業者様等と作業分担が複雑になっているので、上手く仕事が行くように指導(根回し)させて頂きます。

 今回、この問題は解決しました。国内各所に出向いていますが今までの相談は全て解決しています。また事前検討する図面やデータを拝見し、現地に伺った時は円滑な解決に向けたスピーディな対応をします。 資料がないと時間を要し調査経費も膨らみます。

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