受信サービス株式会社

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「突然のブラックアウト」と受信マージン

 デジタル放送は、データの圧縮や誤り訂正などの機能により、アナログ放送には無かった急激な画質の劣化(ブロックノイズ、ブラックアウト)が発生します。

 この症状は、受信電波のレベルやC/Nの劣化などにより突然発生するので予測することが困難です。 従来の地デジ受信設備設置時・改修時の主な測定項目はレベル(チャンネルパワー)とBERに注目した方法ですが、デジタル特有の「突然フリーズする」症状に対応するには不十分です。

 そこで、ここで説明する「受信マージン(余裕度)」を測定記録しておけば、経年劣化や受信障害による劣化を事前に予測することができます。

 当社では以前から受信マージンを測定することで、受信限界値などをチェックしています。(使用測定器:日本通信機(株)デジタルTV信号マージンチェッカ5283オプション付き)

マージン(余裕度)

 第1図のように、マージンが小さいとチョットした障害で画像が破綻し、ブロックノイズやフリーズとなり、マージンが大きいと余裕が大きくなります。

第1図 受信マージン(余裕度)の大小

受信マージン測定方法

(1) 受信レベル、C/N、BER(MER)を測定する方法

 最も基本的な方法ですが、デジタル信号を解析するアナライザーと、測定結果の判断に専門的な知識と経験を必要とします。

テレビの入力レベル
 地上デジタル放送受信機の望ましい入力レベルは34~89dBµV(ARIB:(社)電波産業会)です。しかし、デジタル放送では受信限界を越えると急激に画質が劣化するため余裕を見て受信機入力レベルは46~89dBµV(テレビ受信向上委員会)とする必要があります。

C/NとBER
 誤り訂正は、BER=2×10-4以下が得られれば外符号(RS)の復号後には疑似エラーフリーとなります。この時のCN比を所要CN比といいます。この所要CN比は変調方式や畳み込み符号化の符号化率によっても異なり、符号化率を3/4とした場合の実験値は次のようになります。

変調方式所要CN比(BER=2×10-4
QPSK7.5dB
64QAM20.1dB
(映像情報メディア学会編,デジタル放送ハンドブック,p210,H15.6)

 なお、マルチパス妨害が加わった場合には、64QAM,3/4の場合で所要CN比は約21dBから約27dBに劣化します。

MER
 MER値は復調された信号の信号対雑音比(いわゆるSN比)を表したもので、視覚的にはコンスタレーションの基準点からのズレになります。(第2図)
CN比とMERはほぼ比例関係にありますが、絶対値は異なりますので注意が必要です。

第2図 コンスタレーションとMER

(2) CN比マージン測定法

 信号(C)と雑音(N)の比は信号の質を表し、この比を受信CN比といいます。
この受信CN比に、雑音発生器で発生させた雑音(n)を加えてBERが受信限界の2×10-4になった時のC/(N+n)と受信C/Nとの差を「CN比マージン」といいます。

第3図 CN比マージン測定法(原理)

 このCN比マージン測定方法は、信号の質を表すことができるので最も正確ですが、広範囲に一定のレベルを発生する雑音発生器の入手が困難で、専用の測定器が必要になります。

(例) ISDB-Tマージンチェッカー(5283型、日本通信機)
    デジタルTV信号アナライザー(R3466N、アドバンテスト)など

 第4図の例では、グラフの下側にNM(ノイズマージン)が15.45dBと表示されています。すなわち、C/Nマージン=15.45dBであることが分かります。

第4図 R3466Nによるノイズマージン(NM)の測定

(3) レベルマージン測定法

 この方法は、信号の質などには関係なく、単純に「信号レベルのマージン」を表します。 レベルマージンの測定は、アンテナ入力にアッテネータを付加し、受信BERが2×10-4になった時のアッテネータの読みをレベルマージンとするものです。(第5図)

第5図 レベルマージン測定法   第6図簡易レベルマージン測定法

 なお、第6図のように、テレビ画面でブロックノイズの発生を確認することでも簡易的に測定できます。(簡易レベルマージン測定法)

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