受信サービス株式会社

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FM放送

 「ワイドFM」という呼称は、東京ラジオ民放3社が付けた「愛称」で、全国的にはいろいろな愛称やキャッチコピーがあります。正式には、「FM補完放送局」といいます。

 この放送局は、2013年~2014年に総務省がテレビのVHF帯ローチャンネルの有効活用と「都市型難聴対策」・「外国波混信対策」・「地理的・地形的難聴対策」・「災害対策」を目的として「その他の補完中継局」の開設が決められました。

 FM補完放送とは、中波放送(AM放送)の放送区域において、FM放送用の周波数を用いる中波放送の補完的な放送です。周波数帯は、90.1~94.9MHzを使用します。また、放送内容は、AM放送と同時放送が基本で、独自放送は行いません。

 ※マルチメディア放送は、2020年3月31日に終了しました。

関東での開局状況(2015.12現在)
開始中継局放送局周波数(出力)開設目的
2015.08水戸FM局茨城放送94.6MHz(1kW)都市型難聴、地理的・地形的難聴
2015.12FM日立局茨城放送88.1MHz(100W)地理的・地形的難聴
2015.12東京(墨田)局TBSラジオ
&コミュニケーションズ
90.5MHz(7kW)都市型難聴、災害対策
2015.12東京(墨田)局文化放送91.6MHz(7kW)都市型難聴、災害対策
2015.12東京(墨田)局ニッポン放送93.0MHz(7kW)都市型難聴、災害対策
FM補完放送の受信方法

 以前、アナログテレビの1ch~3chの音声が受信できた「FMラジオ」は、アナログテレビの音声がFM変調されていたので、FM補完放送を受信することができます。

FM墨田聴取エリアイメージ

(参考)超短波(FM)放送の規格
  使用周波数帯:76.1~89.9MHz
         90.1~94.9MHz
  周波数間隔:100kHz
  最高変調周波数:15kHz
  最大周波数偏移:±75kHz
  占有帯域幅:±100kHz

(参考)中波(AM)放送の規格
  使用周波数帯:526.5kHz~1606.5kHz
  周波数間隔:9kHz
  変調方式:AM
  占有帯域幅:15kHz

 引用:TBSラジオホームページ

 東京のテレビの送信場所は、「東京タワー」から「東京スカイツリー」に移転しましたが、これにあわせてFM放送の送信場所も一部変更になりました。

移転後の周波数、実効輻射電力
放送局名周波数(MHz)ERP(kW)
東京スカイツリーNHK東京FM82.557
J-WAVE81.357
東京タワーTOKYO FM80.0125
InterFM89.713

 送信場所が2カ所になったため、FM放送の受信環境が変わり良好に受信できるようになった地域もありますが、既存アンテナの方向が合わなくなり受信不良になった地域もあります。

 東京タワー周辺にお住まいの方から、NHK東京FM とJ-WAVEが聞きづらくなったというご相談がありました。

 受信者は、既存アンテナを東京タワーに向けていましたが、NHK東京FM とJ-WAVEは東京スカイツリーへ移転し、アンテナ方向が変わってしまったため、電波が弱くなり音が歪んでしまいました。

 調査の結果、ビルの遮蔽による建造物障害と判明したため、アンテナ位置の変更とフォールデッドダイポールアンテナに変更し改善しました。

 都内での受信は、送信出力が大きいためアンテナの利得差はたいした問題でなく、むしろ進入路の開放状況(見通し)が大きく関わります。

      FM受信波形        FMアンテナ      フォールデッドダイポールアンテナ
(スカイツリーに向けて設置)   

 FM放送を聴取していると、放送内容が無音(無変調時)の時は入らないが、特にピアノ曲等の音楽の時に音声が「割れたり」「ジュル、ジュル」といった濁った音が発生する場合は、次に述べるマルチパス障害です。

 マルチパス障害は、マルチパス歪みともいい、これは地上デジタル放送の障害だけの事ではありません。

 マルチパス歪みは、受信アンテナの特性・設置場所・高さなどを現場で調査し、アンテナを適切な位置に設置する事により多くは改善します。

 マルチパス歪みは、大まかにはFMラジオで確認できますが、高度なリスナーのご希望に応えるためには、スペクトラムアナライザーでマルチパスのDU比を観測しながら、受信アンテナの位置等を調整します。これには大変な手間と時間がかかります。

 例えばマルチパス歪みの改善に関しては、マルチパスDU比の測定から作成した算出表によりマルチパス歪みの最も少ない場所で、アンテナの種類、位置、高さ、方向、他の障害物などとの干渉を考慮し、最良受信点を探します。(お客様宅での受信最良点を探します)

 最良点がクリチカルなため、時間をかけて追い込んで調整します。また、DU比を限りなく30dB以上に近づけます。この値はお住まいの電波環境にも左右されますが、できない場合はその現地での受信最良値とします。

 弊社での調査は、測定車使用による地上10mの範囲(車進入化範囲)と、グラスファイバーポールによるベランダなどでの移動調査をいたします。(2名での調査となります)屋根上は事前電話相談で判断しますが、勾配が急な屋根や、危険と思われる時は中止させて頂きます。

○改善のために次の調査項目を用意しております
  1. 電界強度計による最適受信レベルの確保。
  2. スペアナ測定による専用ソフト測定。 受信改善パターンによる改善度試験を見る。
    (マックスホールドをかけ数分から数十分1パターン毎を測定検査。時間を要します。)
  3. アンテナ機種、素子数、ハイトパターン試験。
  4. 電波方向、アンテナの位置・方向・高さ、その他、周辺のアンテナ特性に影響を及ぼすものを考慮し調整する。
  5. 同軸ケーブルによるVSWR(反射波電波改善)マッチングの確認。
  6. スペアナ測定による妨害波の確認。
  7. FM受信機による受信テスト。音質の確認。
 ※ 調査は屋根上など事前に情報が必要です。 例)ハシゴ・ロープの準備
   測定風景          受信波形       測定車による路上測定

 先日インターネットからのお問い合わせで、近所でビルの建設工事が始まってからFM放送が聞こえにくくなったが、どうしたら良いかとのご相談がありました。

 テレビ電波やFM電波は、ビルなどの建造物によって電波が「遮蔽」されたり「乱反射」などによって、良好に受信できなくなる場合があります。

 テレビと同じ、一般的に言う電波障害です。FM放送の場合は「ジュル、ジュル」というノイズ状の歪み音が入るのが特徴です。
 特に、FMラジオのアンテナがラジオ備え付けの「ロッドアンテナ」の場合は、アンテナの感度が余り良くないので、障害が顕著に現れます。(携帯電話が通じにくいところは、FMラジオの受信も良くない傾向があります。)

このような障害の改善には、次のような対策をお試しください。
  • できる限り窓側に寄り電波の進入路を探す。
  • FMラジオのロッドアンテナをいっぱいに伸ばし音声の歪みが少なくなる場所を探す。(少しの移動でも変化する。)
  • ラジオ本体のロッドアンテナを前後左右に回転させる。(ロッドアンテナの先端部分は危険ですので注意してください、特にお子様がいらっしゃる時は十分にご注意ください)
  • 別の部屋などに移動する。…など

 このような方法を試みても改善されない場合には、原因となるビル等建造物の影響が大きいと考えられますので、建築主に相談して実態を確認していただき、改善方法を専門業者に相談してください。

 近隣とのお付き合いもあると思いますので、建築主と話し合いで改善を図られることをお願いします。過去の例では話し合いが上手くいかない場合は、例え技術的に改善策があったとしても、長い間に渡り改善が困難となる場合が多く見受けられます。

ビル等建造物の影響の程度によりますが、技術的には次のような改善方法が考えられます。
  • FM専用アンテナをビル等建造物側の屋上などに設置してもらう。
  • テレビ電波(地デジ・BS・CS)と同様にFMの共同受信施設を設置する。
 ※ 弊社では上記以外の他社では対応していない特殊な方法もご提案しております。

測定例(1)

ΔL=10.2dB → D/U=5.5dB

測定例(2) 特性が平坦になるように、アンテナ等を調整します。

ΔL=1.8dB → D/U=19.7dB

測定例(3)

ΔL=5.2dB → D/U=10.7dB

参考資料
大原:FM放送のマルチパスひずみの解析、テレビジョン学会誌、1978
小宮:スペクトラム・アナライザによるFM放送波のマルチパス測定、テレビジョン学会技術報告、1987

 地元に密着した新しい放送局です。地域内の情報伝達や広報用など地域に密着した情報源として利用しましょう。しかし、放送局の電波の出力が弱いので、サービスエリアはあまり広くありません。

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